研究概要 |
本研究課題の目的は,微小な対象物のハンドリングやマイクロマシンの組立を行うためのマイクロロボットアームを実現することである.すなわち,直流高電圧の印加によって活発なジェット流を発生する電界共役流体(Electro-conjugate fluid, ECF)を利用してマイクロロボットアームに適用可能なマイクロ人工筋アクチュエータを実現し,その制御法を確立したのち,これらを用いたマイクロロボットアームを具現化することを目指す.平成18年度はECFマイクロ人工筋アクチュエータの実用モデルの実現と制御法の確立を計画し,以下の成果を得た. はじめに,ECFマイクロ人工筋アクチュエータの構成部であるECFジェット発生部,繊維強化シリコーンゴムチューブ,およびECFタンクを一体化し,実際にマイクロロボットアームに搭載可能なセル構造を提案し,プロトタイプを試作した.プロトタイプはECFジェット発生部を内蔵した繊維強化シリコーンゴムチューブの周囲にECFタンクを配置した構造であり,寸法はφ13mm×10mmである.内部に充填したECFに発生するジェット流によって印加電圧5kVにおいて1.2mmの収縮変位を実現した.また,収縮方向の発生力は最大0.17Nであった. つぎに,上記のプロトタイプの収縮変位を制御した.すなわち,レーザ変位計を用いてECFマイクロ人工筋アクチュエータの先端変位を測定し,目標位置との偏差に応じてPD制御則によってアクチュエータへの入力電圧を制御した.これにより,収縮変位0mmから1mmまで,0.2mmのステップ幅ごとに良好な変位制御を実現した. 今後はプロトタイプの小型化(目標寸法φ3mm×5mm程度)および精密な位置・力制御を実現し,具体的なマイクロロボットアームの実現を目指す.
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