研究概要 |
蝶をモデルとした小型はばたきロボットを開発するため,本年度は以下の項目を実施した. (1)翅のはばたきと腹振りをリンクさせる1自由度のメカニズムの開発 上下はばたきストロークが60°,腹振り角30°,はばたき周波数10Hz,質量0.7g以下を実現する実機を製作した.初速度を与えたフリーフライトは実現したが,初速度0m/sからのテイクオフは,アップストロークにおいて十分な揚力を得られなかった. (2)翅脈による部分的な剛性の違いを考慮した翅の開発 光造形器により,アゲハチョウと等倍で同じ翅脈を有する翅を製作した.静的な剛性特性の解析と,アップ・ダウンストローク時における動的な剛性の違いの解析が次年度の課題である. (3)高速度カメラによる運動解析 x-y-z方向から撮影可能な高速度カメラシステムを用いて,蝶のテイクオフ時の飛翔メカニズムを解析した.これにより,はばたき角と腹振り角が同周期,逆位相であること,腹振り角と迎角が逆相関であることが示された.また,アップ・ダウンストロークにおいて翅剛性が異なること,加速度方向が上昇方向から前進方向へ変化することが明らかになった. (4)製作した小型はばたきロボットのモデル化とその数値解析 製作したロボットをモデル化し,ボディーの運動,翅の弾性変形,翅周りの流れ場を流体一構造の弱連成問題として求めた.90°近い角度から開始されるはばたきが,大きな負圧を創りだし,これがダウンストローク時翅表面全体に広がり,大きな揚力となっていることが示された. 以上の結果は,11に示す研究発表として公表された.
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