研究概要 |
本年度は,測定したSiCデバイスの静特性測定結果を基に素子モデルを構築すると共に,過渡特性を表現可能なモデルを作成するための測定実験及びモデルの拡張,パラメータ抽出を実施した。すなわち,多数キャリアデバイスであるSiCショットキーバリアダイオードと,接合型電界効果トランジスタについて,測定した静特性から,動特性を表すモデルを構築した。また,過渡特性には,SiCデバイス自身が示す特性と,パッケージングや測定回路や測定用プローブ等により更に付加された寄生成分の影響が重畳して現れるため,これらのパッケージングや測定系により付加されたデバイスの寄生成分をパラメトリックに評価した。これらのモデルは,半導体物理に基づく微分方程式及び代数方程式に基づき構築し,数値解析により検証を行った。 また,パッケージに実装されたデバイス自身が発生する熱により,パッケージには非一様な熱分布が発生する。特に局所的な熱分布が生じた場合は,デバイスの熱破壊につながるため,できるだけ均一な熱分布となるよう,パッケージへの実装方式について評価する必要があることから,本補助金により購入したサーモグラフィーを用いて,パッケージおける熱分布の測定・評価を行った。同時にパッケージを含んだ素子を,熱回路してモデル化し,パッケージ内部の熱応答分布について解析を実施した。そして,サーモグラフィーを用いて得た実験結果と比較検討を行い,熱回路モデルの模擬精度について評価を行った。
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