研究概要 |
シリコン基板上のペンタセン(C_<22>H_<14>)と6,13-ペンタセンキノン(C_<22>H_<12>O_2)の核形成や薄膜成長のメカニズムを低エネルギー電子顕微鏡(LEEM)及び低エネルギー電子線回折(LEED)を用いて実時間でのその場観察により研究した。さらに、走査トンネル顕微鏡(STM)により分子スケールのペンタセン薄膜のモルフォロジーを研究した。実験で観察された過程に対するメカニズムを研究するために第一原理密度汎関数法を用いた。フラクタルなペンタセン/Si(111)やBi(0001)/Si(111)上の2層目のペンタセンやα-√<3>-Bi-Si(111)アイランドなどのより小さなペンタセンドメインについてのLEEM研究により、結晶構造に関連したアイランド形状には明確な異方性があることが示された。ペンタセンアイランドは、相やエピタキシャル関係に関わらず、a軸に沿ったエネルギーの最も低いステップではなく、常にわ軸に沿って延びており、ペンタセン薄膜は内部の動力学的選択により、a軸方向に平行な最もエネルギーの低いステップの方向よりもb軸方向に成長することを示している。ペンタセンが水素終端Si(111)表面のような不活性な表面上により大きなドメインを形成するとき、ドメインやサブドメインが供給される分子フラックスの密度勾配の方向にそろったb軸方向を向いた単一の核から多結晶化さえも進む。複数のペンタセンドメインもBi(0001)/Si(111)やα-√<3>-Bi-Si(111)基板のような他の不活性な三方晶基板上に単一の中心から同じ成長メカニズムを経て核形成する。ペンタセンの蒸着の間、分子の1次元拡散により不活性表面上の利用可能なフラックスの方向を制限すると、エピタキシャル関係の制限内でb軸が利用可能なフラックスの方向を向いた単結晶ドメインの方位方向を選択できる可能性があるかもしれない。
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