研究課題
申請者の所属先変更により、現有設備としていたRFスパッタ電源ユニットの使用が困難となったが、焼結したフェライトターゲット表面を水素雰囲気中で還元処理すれば、直流電源でもフェライト膜の堆積できることが確認されたので、申請書の記載通りにフェライト膜の研究から進めることとした。まず設備備品として選定した「多層膜形成用対向スパッタシステム」において成膜時のプラズマからのダメージフリーを実現するための諸条件(ターゲット構造、基板ホルダー位置、ヒーター構造、ガス圧、分圧比等>を探査した。放電電力が50W程度と小さな場合でも、基板位置がプラズマ申心から一定距離(70mm)以下になるとγ-電子あるいはO^-等による膜成長面へのダメージにより、膜の結晶性や飽和磁化値が劣化することを確認した。200℃以下とスパッタ法による堆積温度としては低い温度でCo-Znフェライト膜を(111)配向させることに成功し、この配向はZn組成が多いほど得られ易いことや保磁力(H_C)が減少すること、面内で当方的な磁化特性を示すこと、Co_xZn_yFe_<3-x-y>O_4の組成ではy=0.3程度が最も飽和磁化(M_S)が大きくなることを明らかにした。上記スパッタシステムの諸条件の最適化をはかるのと平行して、フェライトめっき装置によってNi-Zn-Co膜を作製し、磁気特性やノイズ抑制効果の評価を行った。高い異方性磁界によるノイズ抑制周波数の高帯域化を目的としたCo置換膜(x>0.16)では、薄膜堆積時に基板ホルダー付近に500Oe以上のバイアス磁界を印加することにより、バイアス磁界と平行方向の異方性磁界や2GHz以上の共鳴周波数を得ることに成功した。一方、Co組成x=0.02〜0.03、Zn組成y=0.5〜0.6においてM_Sを大幅に減少させることなく、透磁率の実数成分μ'を再現性良く180以上とすることに成功し、虚数成分μ"が400MHz〜3GHzと広帯域に及ぶGHz帯域のノイズ抑制体に適したプロファイルを示すことを明らかにした。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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