研究概要 |
本研究では,人工皮膚などセンサーを本格的に大面積化するためのプロセス技術と回路技術を確立することを目的とする.まず,20マイクロメートル解像度の高精細スクリーン印刷技術で,実効面積300x300平方mmの高分子フィルム上に,金属ナノ粒子の電極・配線パターンを形成する.このナノ印刷技術を駆使し,格子状に並べられた多数のセンサーから情報を読み出すための大面積有機トランジスタ集積回路を試作する.また,大面積の集積回路では,配線抵抗や浮遊容量による遅延が顕在化すると予想される.そこで,有機トランジスタのシートを縦方向に何枚も積層する3次元回路技術を駆使して問題を解決し,大面積化への道を切り拓く. 本年度は、有機トランジスタ集積回路の大面積化に向けて、印刷でパターニングした電極によって集積回路を試作した.ソース・ドレイン電極を印刷によって形成する際に,通常市販されている銀ペーストを用いると,有機半導体と良好なオーミック接合を形成しないため,集積回路を作製する際の課題となっていた.筆者は,ハリマ化成(株)筑波研究所の協力を得て,金属ナノ粒子を有機トランジスタに活用することによって著しくオーミック性が改善されることを見出した.実際に,インクジェットによって、300x300平方mmのフィルム上に解像度60マイクロメートルの電極パターンを形成するなど,要素技術を確立した.
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