研究概要 |
動的再構成が可能なVCO,LNA,Mixerについて研究開発を行った。電圧制御発振器(VCO)については、可変インダクタにより発振周波数を制御するだけでなく、MOSスイッチによりキャパシタを切り替える方式とVCO出力をミキサで広帯域化する方式を検討した。可変インダクタとキャパシタ切り替えを組み合わせる方式により、1.3GHzから2.8GHzまでの発振が可能な電圧制御発振器を実現した。世界最高の性能を達成し、国際会議A-SSCCにて発表を行った。また、VCOの出力をミキサで広帯域化する方式では、1GHzから6GHzでの広帯域発振をシミュレーションにより確認した。従来の分周期のみを用いる方法では、VCOに2倍の周波数可変範囲が必要であったが、提案方式では1.5倍の周波数範囲で十分であり、位相雑音特性の改善が期待できる。 アナログ回路の設計では、動作時の温度や製造ばらつきに対する設計マージンのため、電力面や性能面において冗長な設計となっている。提案アーキテクチャでは、性能を設計マージンにより補償するのではなく、動作時に動的に回路性能を調節することにより電力削減を行う。動的再構成が可能なVCO(電圧制御発振器),LNA(低雑音増幅器)について、動的電力削減を可能とする回路方式について、設計・試作・実装・測定を通して検討を行った。動的再構成LNAでは、動作時の温度特性を補償することにより、40%の電力削減が可能であることを確認した。また、入力信号電力に対する性能補償では、最大で70%の動的電力削減が可能であった。
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