研究概要 |
動的再構成が可能なVCO, LNA, Mixer, PAについて研究開発を行った。電圧制御発振器(VCO)については、MOSスイッチによりキャパシタを切り替える方式とVCO出力をミキサで広帯域化する方式を検討した。本年度は可変インダクタを用いずに、周波数分周器、ミキサ、結合器などから構成されるDSMCD(Divider-Switch-Mixer-Combiner-Divider)方式とDSMCDD(Divider-Switch-Mixer-Combiner-Divider-Divider)方式の広帯域化回路により、それぞれ0.98GHz〜6.6GHzと0.49GHz〜6.5GHzの周波数可変範囲を実現した。DSMCDD方式のVCOで、位相雑音は最高-137dBc/Hz-1MHz offset@0.6GHzであった。消費電力は,周波数帯に依存し,8.37〜25.9mWである。レイアウト面積は,920umx510umである。DSMCD方式で,性能指数FoMは-179〜-183dBc/Hzで,FoMTは-202〜-206dBc/Hzであった。DSMCDD方式で,性能指数FoMは-172〜-180dBc/Hzで,FoMTは-197〜-205dBc/Hzであった。FoMTは世界最高値を達成した。周波数可変範囲においても,LC-VCOにおいて世界最高のチューニングレンジを実現した。リコンフィギュラブルRF無線回路のための広帯域VCOとして利用が可能である。 低雑音増幅器(LNA : Low Noise Amplifier)については、基本的には前年度までに行った回路の改良に尽力した。可変インダクタを用いたチューナブルLNAの改良を行った。昨年度では、可変範囲を広げるために、ソースディジェネレーションのインダクタがないトポロジのものであったが、本年度ではソースディジェネレーションを用い、なおかつ、可変インダクタを用いることにより、電力増幅率および雑音指数の両者を改善することができた。可変インダクタについて、数式によるモデリングを行った。導体板の高さの関数として、等価回路モデルの各値を導出することが可能である。 電力増幅器(PA : Power Amplifier)について、可変インダクタを用いたチューナブルE級PAの設計を行った。シミュレーションにより、1.4〜2.6GHzにおいて20dBmの出力電力を得た。電力効率PAE(Power Added Efficiency)は最大で60%であった。周波数混合器(Mixer)にっいて、広帯域な分布定数ミキサについて検討を行った。2.3〜6.0GHzの周波数範囲において、-10dBの変換利得を得た。
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