本研究では、立体映像を対象にネットワークヒステリシス特性の評価ならびに原因解明とともに、符号化を中心とした立体映像トランスポートシステムの試作を行うことを目的としている。 本年度は、当研究室で保有している立体映像ディスプレイ(米国Stereo Graphics社製Synthagram202)の故障に伴い、実験計画に遅れが生じてしまったが、結果的には新たにPhilips3Dディスプレイに実験システムの変更を行い、研究開発を継続することができた。 本年度は、まず新しく実験システムを構築するとともに、実験システムに沿った3D映像入力モジュールを実装し、実験環境を整えた。続いて、すでに提案済みの多眼型立体映像配信システムトランスポートシステムの試作するとともに、トランスポートシミュレーションの結果から得られているパラメータ条件を用いて、3D映像の主観評価実験を行い、ネットワークヒステリシス特性の解明を行った。 ネットワークヒステリシス特性に関しては、評価パラメータが極めて多岐にわたり、完全な解明ができたとはいえないが、本実験環境においては、様々な種類の異なる3D映像入力に対し、一定の共通解が得られたことから、将来の3D映像伝送を考えるうえでの重要な知見が得られたといえる。
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