研究課題
塩害および中性化により劣化した鉄筋コンクリート部材の、総合的な維持管理マネジメント技術の開発を目的とし、(1)既存鉄筋コンクリート部材の腐食速度を微破壊試験で測定する技術の確立、(2)鉄筋の腐食箇所と腐食量がコンクリート部材の曲げに対する耐力低下状況に及ぼす影響の評価、(3)腐食要因物質の浸透状況および鉄筋の腐食状況を考慮し、部材の耐力低下を抑制することに有効な補修・補強工法の確立、を図った。具体的な成果を列挙する。1.環境外力の変化が腐食速度に及ぼす影響供試体を用いた屋内試験および実構造物を対象とした屋外試験を実施し、外部環境が鉄筋コンクリート部材の腐食速度に及ぼす影響を評価した。その結果、10m以上の連続した風や10℃以上の温度変化が鉄筋コンクリートの腐食を加速することが明らかとなった。2.鉄筋腐食がコンクリート部材の力学性能に及ぼす影響腐食箇所と腐食量が鉄筋コンクリート部材の曲げに及ぼす影響を評価した。その結果、ひび割れ部などにおいて局所的なマクロセル腐食が生じた場合、鉄筋の力学性能は低下し、鉄筋コンクリート梁の曲げ耐力は低減することが明らかとなった。3.補修後の鉄筋コンクリートの力学性能評価塩害により劣化した鉄筋コンクリート部材に対して補修(工法の種類と補修時期がパラメータ)を施し、補修後における鉄筋コンクリート梁の力学性能(内部鉄筋の力学性能、梁の曲げ耐力)を評価した。その結果、予防保全的な表面被覆は、厳しい塩害環境下においても補修後の鉄筋の力学性能が低下することがなく、梁の曲げ耐力も低下しないことが確認された。また、補修後における鉄筋の力学性能および梁の曲げ耐力の低下を抑制するためには、腐食要因物質の供給を抑制する補修方法が有効であることを確認した。
すべて 2006 2005
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コンクリート工学論文集 17巻・1号
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