研究概要 |
平成17年度は,主に2つの研究を実施した.最初に,地震動評価に関わる圧倒的な不確定性の存在下において,橋脚・杭基礎系の耐震信頼性に影響する不確定要因に関する感度解析を実施した.次いで,地震動評価に関わる圧倒的な不確定性の存在下でも,地震時破壊リスクを低減可能な超高性能耐震部材の開発を目指し,超高強度構成材料を用いたRC柱の製作とその構造性能評価を行った. それぞれの研究概要を以下に示す. 1.地盤定数をN値から推定する場合,大きな不確定性が介在することは避けられない。本研究では,この不確定性を低減し,精緻に地盤定数を推定することがRC橋脚・杭基礎系の耐震信頼性の評価結果に与える影響について,地震ハザード曲線とフラジリティカーブを用いて算定される損傷確率の値を基に考察した.限定的な解析条件で得られた結果ではあるが,RC橋脚・杭基礎系の損傷確率は,地震動評価に係わる時間的・空間的なばらつきに支配されており,地盤定数の不確定性の損傷確率に与える感度は小さく,その不確定性の低減の有無はRC橋脚や杭の設計結果にほとんど影響を与えないことが推察された. 2.コンクリート圧縮強度130N/mm^2,横拘束筋降伏強度1450N/mm^2までを用いたRC柱の一軸圧縮実験を行い,断面形状(円形・正方形)の違いを含む横拘束筋拘束形状,柱長さ,および構成材料の強度や横拘束筋量などが圧縮破壊領域長さや荷重-変位関係に及ぼす影響を考察した.次いで,著者らの過去の実験結果も含め,圧縮力を受けるコンファインドコンクリートの平均化応力-ひずみ関係を新たに定式化した.提案式は,既往のモデルに比べ,横拘束筋拘束形状や柱長さによらず,広範囲な構成材料の強度の組み合わせからなるRC柱に適用できる特徴を有する.また,正負交番荷重を受ける高強度RC柱を対象に,提案した平均化応力-ひずみ関係を用いたファイバー解析を実施し,実験結果を概ね再現できることを確認した.
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