研究概要 |
本年度は、環境中で増殖する病原微生物の抑制手法としての金属イオンの効果の評価、ならびに、都市インフラが十分に整備されていない地域における調査を遂行した。 銀(Ag^+)と銅(Cu^<++>)を消毒剤とし人工水道水(synthetic drinking water, SDW)(pH7.0,25℃)に注入して、消毒剤によるLegionella pneumophilaの不活化特性をPseudomonas aeruginosaおよびEscherichia coliの結果と比較しながら明らかにした。また、3種類の細菌がAcanthamoeba polyphage細胞と共存した場合の特性を調ベアメーバに寄生した時(amoeba state)の消毒剤に対する感受性と浮遊状態(planktonic state)での感受性とを比較した。浮遊状態のL.pneumophilaとP.aeruginosaは消毒剤(Ag^+(0.1mgAg/L)、Cu(1.OmgCu/L)、およびAg^+とCu^<++>混合)を注入してから24時間以内で、初期濃度(約2×10^7CFU/ml)から検出限界以下まで不活化されたが、アメーバ細胞内に存在する細菌数は、消毒剤注入から7日後にも5.6×10^1CFU/ml以上生残していることが観察された。 病原微生物の発生動向を調べるため、寒冷地としてハバロフスク、および熱帯のプノンペンにおいて水試料を採取し、酸洗浄法を用いてウイルスを濃縮して大学に持ち帰りウイルスを検出した。プノンペンでは、都市排水路から同じく多種類のウイルスが検出された。ハバロフスクにおいても、比較的汚染された河川水からノロウイルスなどの腸管系ウイルスが検出された。
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