平成17年度は、北イタリアの都市に現存する古代遺構の再生・転用事例を調査・分析し、再生・転用の手法と共に、周辺地区の形成過程において果たした機能と役割を考察した。 1.調査対象都市 トリエステ、アクイレイア、パドヴァ、ヴェローナ、ブレーシャ、ミラノ、ルッカ他 2.対象事例の実地調査および主要事例の現況実測調査と分析用資料の作成 現地調査により得られた各種資料をデータベース化した。再生・転用の様態が特徴的なルッカの都市組織に関しては実測調査を行い、平面・立面・断面等の図的資料とVRイメージを作成した。 3.対象事例の周辺地区の調査 各都市の古代遺構の転用が見られる都市組織を以下の3点から調査した。「聖域の形成」ではヴェローナのローマ劇場跡を中心に、建物にまつわる宗教史的背景を調査した。「都市境界の形成」ではボルゴの形成過程を史料より明確化した。「周辺への形態投影」では航空写真からブレーシャのローマ劇場の周辺街区について、平面の特質を調査した。 4.文献・史料の収集 対象事例に関する文献、都市図、不動産登記台帳等の各種史料を、現地の専門店および国立図書館・古文書館や考古学遺跡監督局、環境財建築文化財監督局の研究所にて収集した。 5.VR技術による建築空間の記録と分析 撮影画像を専用ソフトで再構成し、仮想空間たるVRイメージを事例毎に制作した。遺構の初源的要素(壁・柱・ヴォールト等)を立体画像から抽出した。
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