研究概要 |
本研究はエンジンのシリンダ内の燃焼圧力を直接検出する燃焼圧センサー材料の創成を目指し、ランガサイト(La_3Ga_5SiO_<14>:以下、LGS)型圧電結晶に着目している。本年度はAlを固溶限界ドーピングしたLTG(La_3T_0.5Ga_<5.5-x>Al_xO_<14>:以下、LTGAx)結晶を作製し、Al置換による結晶の高抵抗化、ならびに材料定数への効果を評価した。まず固相反応法によりLTGAx粉末結晶を作製し、LTGへのAl固溶限界量を明らかにした。その結果、x=2.0以下の組成でLTG型単相が得られることがわかった。この結果を踏まえ、チョクラルスキー法によりx=0.0,0.3,0.5,0.6,1.0のLTGAx結晶の作製を試み、LTGA0.5までの組成において、バブル、インクルージョン等のマクロ欠陥のない良好な結晶の作製に成功した。作製した結晶の密度および格子定数はAl置換量増加に伴い減少した。これは、Alの原子量およびイオン半径がGaと比べ小さいためであり、Alが結晶格子内に置換されていることがわかった。圧電特性評価により、圧電定数-d_<14>と比誘電率ε_<33>^T/ε_0の値が特に大きな変化を示し、-d_<14>では3.68pC/N(LTG)から4.19pC/N(LTGA0.5)と14%の増加が見られ、ε_<33>^T/ε_0では79.9(LTG)から67.9(LTGA0.5)と15%の減少が見られた。この圧電定数の増加は、ランガサイト型結晶においてAサイトイオンが相対的に大きくなると、圧電定数が大きくなるという報告と一致する。また、燃焼圧センサーとして重要な特性である圧電定数、および抵抗率の温度特性について評価した。圧電定数-温度特性は燃焼圧センサーの圧力に対する発生出力となるd_<11>について評価した。室温における値との比をとり温度特性の比較を行った結果、LTGA0.5のd_<11>の変化は室温から400℃において0.99〜1.02と小さいことから、同結晶が燃焼圧センサー材料として有望であることが明らかになった。抵抗率-温度特性では、LTGA0.5は同温度における抵抗率がLTGと比べ10〜30倍程度の値を示すことがわかり、LTGへのAl置換が抵抗率の上昇に有効であることを明らかにした。以上、本研究で、ランガサイト型圧電結晶LTGAxが燃焼圧センサー材料として有望であることがわかり、センサー実用化のための指針を得ることができた。
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