研究概要 |
本研究はエンジンのシリンダ内の燃焼圧力を直接検出する燃焼圧センサー材料の創成を目指し、ランガサイト(La_3Ga_5SiO_14)型圧電結晶に着目している。最終年度である本年度は、これまで開発してきたランガサイト型結晶におけるAl置換による結晶構造変化ならびに圧電特性変化について調べた。試料にはチョクラルスキー法にて作製した単結晶を用いた。Al置換ランガサイト型結晶はLa_3Ga_5-xAl_xSiO_14、La_3Ta_0.5Ga_5.5-xAl_xO_14、La_3Nb_0.5Ga_5.5-xAl_xO_14(それぞれLGASx,LTGAx,LNGAx)の3種類を用意し、各結晶は作製条件下で固溶限界までAlをドープさせた。結果、不純物を含まない単相としてLGAS0.9,LTGA0.5, LNGA0.2の組成であるAI置換結晶が得られた。結晶構造解析として、イメージングプレート型回折計を用い回折強度を測定し、構造パラメータ精密化を行った。圧電特性評価には得られた結晶を方位カットし、結晶基板を得、鏡面研磨を施した後、Au電極を形成したものを用いた。すべての結晶において、置換したAlはLaが占有する十面体席以外の陽イオン席に分布し、その優先配位する席は最小の四面体席、八面体席、四面体席の順であった。また、Al置換により室温における圧電定数d11が僅かに上昇することが分かった。圧電定数の温度依存性に関して、Al置換結晶とホスト結晶では殆ど変わらず、室温から400℃までの温度範囲においてLTGA0.5結晶が最も変動が小さいことがわかった。また、抵抗率一温度特性の測定では、As-grownのAl置換結晶の抵抗率がホスト結晶と比べ同温度において10-30倍程度の抵抗率を有していることが分かり、ランガサイト型結晶へのAl置換が抵抗率の上昇に有効であることを明らかにした。以上、本研究の成果よりLTGA0.5結晶が最も燃焼圧センサー材料として有望であると結論づけた。
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