研究概要 |
本年度は、温度振動型新規ゼオライト膜合成手法の開発を行った。ゼオライト種はZSM-5とし、水熱合成法によりα-アルミナ基材の細孔内にゼオライト結晶を生成させる合成条件で製膜を行った。原料ゲル比は2SiO_2-0.9TPAOH-55.6H_2Oとし、72時間攪拌し反応溶液として用いた。α-アルミナ基材は細孔径100nmのNOK製多孔質アルミナキャピラリーを用いた。合成は413K〜463Kで30〜90時間、無攪拌で行なった。温度振動パラメータは、振動開始時間(X=0〜40)、振動保持時間(Y=2.5,5)、低温保持時間(Z=10〜30)、高温振動温度(T1=170〜190)、低温振動温度(T2=150〜170)、温度振動回数(N=1,2,3)とした。膜性能の評価はN_2およびSF_6の室温での単成分透過試験により行なった。 温度振動によってN_2・SF_6両者の透過係数が上昇し、選択性には大きな変化は見られなかったことより、温度振動により選択性を保ったまま透過係数が向上できることがわかった。高温振動温度(T1)は高く、低温振動温度(T2)は低く、両者の温度差が大きい条件で高い透過性能をもった膜が得られた。一方、高温時の保持時間(Y)の影響は小さく、低温での保持時間(Z)は20時間が最適であることがわかった。また、振動開始時間(X)の影響は明確ではなかった。温度振動回数は大きくなると透過係数が小さくなった。この結果を説明する温度振動での製膜モデルを提案した。今回の検討範囲では振動回数(N=1)、振動温度(T1=190)とすることで最も透過係数の高い膜が合成できた。 また、CVD処理によるゼオライト膜の改良については、CVD用の原料プリカーサーを検討し、20nm程度のシリカ薄膜を均質に蒸着する条件を見出した。
|