研究概要 |
本研究は,イオン温度分布を高時間・高空間分解で測定できる計測システムを新たに構築することによって,これまでほとんど研究の行われていないイオン系の摂動輸送研究を様々な閉じ込めモードに対して行ない,「イオン系輸送過程の基礎特性」および「イオン系輸送と電子系輸送の相互作用」等について明らかにすることを目的としている。 このことを目指して、本年度は、イオン温度分布を高時間・高空間分解で測定できる荷電交換分光計測システムの構築およびデータ解析用ソフトウェア開発に重点を置いて研究を進めた。まず高い量子効率(>90%)が得られる背面照射型で高速フレームレートを実現するデジタルCCDカメラを導入した。本CCDカメラはCCDチップで検出した光電子を、多段のゲインレジスターに通すことによりCCDチップ上で増幅(1000倍)させてからA/D変換(10MHz)で読み出すことをでき、512x512のピクセル数を持つ超高感度CCDカメラである。駆動試験を行った結果、1x16ビニング設定により、チャンネル数32/フレームレート409Hz、あるいはチャンネル数20/フレームレート588Hzでデータ取得に成功し、本研究目的を達成するために十分な性能を持つことを確認した。またテストデータを用いてイオン温度やプラズマ回転速度を導出するためのデータ解析用ソフトウェアの開発を行うとともに、JT-60実験運転に同期したデータ処理システムの構築を行い、3台のパーソナルコンピューターを用いて分散処理することによりギガバイト程度の大容量データを安定に処理することに成功した。 また既存データを用いて、摂動源についての検討を開始した。電子サイクロトロン波入射により、イオン温度やプラズマ回転速度に摂動を与えられることを示すとともに、運動量輸送に内向きピンチが存在していることを明らかにした。
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