高深度石炭層メタンの高効率採取および二酸化炭素の効率的固定化を目的として、本年度は、メタン採取およびCO_2固定化の最も重要なパラメーターとなる石炭コアサンプルの性状評価を行った。炭層毎に異なる石炭の性状および特性を把握するために複数個所の石炭コアサンプルを用いて、NMR解析試験を行うことにより、石炭構造の違いを評価した。NMR装置は、実際の石炭層メタン採掘で利用されている低出力NMR装置(ログインツール)と同様の200HzNMRである。NMR試験では、石炭コアサンプルを10MPa程度に加圧し、水を石炭コアサンプル中の細孔内に完全に含水させることで石炭コアサンプルから得られるNMRシグナルを分析することで、石炭コアサンプルの構造解析を行った。その結果、低出力NMR装置で細孔径および細孔容積等の石炭構造の違いを明らかにすることができた。また、石炭層の細孔内には疎水性の部位、親水性の部位およびその中間に属する部位が存在することがNMR試験を通じてはじめて明らかとなった。 一般的に、石炭層には大量の水が含浸しており、上述した成果によりNMR装置で細孔構造内での水の存在形態が明らかとなれば、石炭層内のメタンの吸着量、および二酸化炭素固定可能量が従来できなかった採掘現場で容易に測定できることとなり、石炭層メタン採取および二酸化炭素固定化の低コスト化が可能となる重要な知見であると考えられる。
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