研究概要 |
本研究は、樹木の分布様式に基づく寄生蜂-植食者-植物の三栄養段階が構成する空間構造が、野外の寄生蜂-植食者群集動態に及ぼす影響を「機械論的」に解明することを目的とした。 昨年度までに得られたデータを用いて、いくつかの研究論文を発表した。これらは、森林生態系における、植食者-寄生蜂群集構造に森林の空間構造が与える影響(Hirao and Murakami 2007, Murakami et al. in press)、森林に対する大規模攪乱が昆虫群集に与える影響(Hirao at al. 2007)、植食性昆虫の群集形成過程に、餌となる植物の種類、樹木の空間分布、大スケールでの森林構造(攪乱)、さらに、生物間の相互作用(捕食者の影響)が確認された。これらの成果は、これまで、個別に扱われてきた、群集の形成機構に関わる要因を大規模に、統一的に把握している点で重要である。 しかし、現状ではこれらの要因んお効果を個別に検討するに留まっており、今後も、これらの要因相互の関係、またその相対的な重要性を解明するために、解析をすすめていく。
|