細胞の機能は複雑な遺伝子情報で作り出されており、細菌からヒトまでのゲノムの解読が完了に向かうことにより、これらの内的情報を整理整頓する基盤が着実に整備されつつある。今後は、これら遺伝子情報によって細胞が正しく機能を発揮する仕組みの解明、ならびに、これら正規の遺伝子情報を邪魔する外的情報による細胞機能の変化の解明を分子レベル、細胞レベル、個体レベルで調べる研究が焦点となっている。細胞内イオン測定、・分子蛍光撮像、超微弱光実時間撮像による研究アプローチは、細胞機能解明において最も期待されている研究ツールの一つであり、細胞内部からのルミネッセンス(発光)現象の高感度・定量解析能力を持っ新しいイメージングデバイスの開発が強く望まれている。本申請では、新素材キャピラリープレートガス検出器を用いて従来の光電子増倍管やCCDカメラと比較して定量解析能力かつ撮像能力を持ち、高磁場、低温、電気ノイズの混在する環境下においても動作可能な「新しい光検出器」の開発を行い、高感度なイメージングシステムの実用化のための研究を行う。 本年度は、キャピラリープレート(CP)とFOP(Fiber Optics Plate)からなるCPガス検出器を開発し、光子検出器としての評価実験を行った。使用するCPの材質は、鉛ガラス、ソーダグラス、そして水素還元を施した鉛グラスで製作し試験した。封入ガスとして、申請者がこれまで行ってきた開発の中で実績のあるAr+CF4を使用し、続いてNe+CF-4、Xeガスの試験を行い、全てのガスにおいて光増殖利得10000を達成することが出来た。これらを専用ステンレス容器に設置してガスを充満して放射光施設およぶ専用ビーム施設にてX線を照射させ、FOPを陽極に持つCPにより、電子・光増殖させその励起発光を冷却CCDシステムまたは光電子増倍管で読み出す装置を開発した。また、感度特性とイメージング性能ならびに分光特性を調べるためのシステムを構築した。
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