研究概要 |
本研究では、(1)脊椎動物が首から尾にまで広がる肢形成能力を獲得するに至った経緯を解明し、さらに(2)四肢動物が首から尾にまで広がる肢形成能力を持っているにもかかわらず、前肢領域と後肢領域にのみ四肢を形成させている仕組みを解明することで、脊椎動物が四肢を獲得するために構築してきたボディプランに迫ることを目標としている。 まず、体側に広がる肢形成能を獲得した過程を明らかにするために、無顎類ヤツメウナギ胚のボディプランを解析している。我々はヤツメウナギ胚において、四肢の形成誘導・形成領域の設定・アイディンティティーの決定に関わる遺伝子のクローニングを試み、当初の計画通り、ヤツメウナギ胚からEn-1,Tbx5,Tbx18等の遺伝子断片のクローニングに成功した。 また、体壁から2対の鰭が区別されていった過程を解明するために、軟骨魚類サメ胚のボディプランの解析も行なっている。我々はサメ胚より、四肢の基部先端部軸方向のパターニングに関与していることが知られている遺伝子のクローニングを試み、当初の計画よりも早くFgf8,Fgf17,Dach,Meis,5'-Hox等の遺伝子断片のクローニングに成功した。現在では、これらの遺伝子の発現パターンの解析を進めており、古代魚が獲得した原始的な鰭が、どのようにボディプランを変化させることで先端部構造である指を形成する領域を獲得し、陸に上がることが可能になったのかを考察したい。
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