研究概要 |
ガーナ国の東部州と北部州,および滋賀県高島市にそれぞれ近接して3箇所ずつ設置した高解像度雨量計のデータに関し,統計学的手法を用いつつ分布型データに変換して解析を行い,学術誌に公表した.また,有限体積法を用いた1次元地表流モデルを完成させ,低平地水田地帯における突発的洪水の再現へ適用し,国際シンポジウムにおいて成果発表を行った.2次元地表流モデルに対する検証データを得るため,精密な水理実験装置である開水路縮流模型を整備した.実験を行ったところ,良好な結果を得たので,公表を準備中である.一方,検証データ取得と併せ,モデル適用の有益性を検討するための基礎情報を得るため,ガーナ国へ2回渡航した.第1回の渡航(7/25-8/5)においては,複合型気象自動観測装置と微小地形観測装置を整備し,また,淡水レンズからの風力揚水灌漑に関する実験圃場を中心にガーナ大学農業・食料科学部の研究施設について視察を行った.第2回の渡航(1/2-1/13)においては,モデルの適用性検証を行う最終的な対象地区を決定するため,北部州ボンタンガ流域に関して,衛星画像データを活用しつつ詳細な調査を行った.それにより,地下水水平流動モデルと2次元地表流モデルを同時に展開するための有効なサイトとして,雨季に一時的湿地帯が表れ,かつ,地下水涵養などを目的とした6基の小ダムを含む内陸谷流域を選定した.また,検証データの取得を行う試験溜池において,量水施設の整備を行った.さらに,人工的な急変流が乾季における節水的灌漑において有効であることを,実験的に実証したので,モデルによる再現を予定している.
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