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2007 年度 実績報告書

植物のhydraulic lift現象における水放出経路の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17688015
研究機関名古屋大学

研究代表者

矢野 勝也  名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教 (00283424)

キーワード不均一系 / 蛍光X線 / 元素マッピング / 根系 / 灌漑 / 乾燥地
研究概要

植物が野外で遭遇する環境は、実験室レベルの研究で採用されるような均一な環境条件とはほど遠く、むしろ不均一性を特徴としている。このような不均一な環境条件下における植物は、均一な環境条件では想像もできないような振る舞いを示すことがある。その一例が、乾燥地で植物が深い根を発達させて地下水を吸収する一方で、表層の乾いた土壌に根から水を放出する現象(hydraulic lift)である。本研究は、hydraulic lift現象における水の放出経路を解明し、放出能の種間差を評価することを目的とした。
まず、植物根からの水放出経路を追跡するための方法論に取り組んだ。すなわち、植物根の導管にあらかじめ取り込ませたトレーサーから、水移動を把握することを試みた。一部の根からトレーサーとしてセシウムやルビジウムを取り込ませた根系を、高浸透圧条件のゲル上に展開することでhydraulic liftを引き起こさせた。蛍光X線解析装置を用いて、ゲルを含めた根系全体の2次元元素マッピング画像を得ることで、非破壊的にトレーサーの動きを捉えることができた。同様に、導管から色素を取り込ませることによっても、導管内の水移動を追跡できた。これらの結果から、根の形態によって水放出能に違いのあることが示唆された。
上層・下層に分かれた栽培容器を用いて、深根性植物6種のhydraulic lift能を比較した。供試したいずれの植物種もhydraulic liftによって下層部から上層部へと水を供給したが、その供給能は種間差が大きかった。根量当たりの水放出能を調べると、供試した5種の植物間では有意差が認められず、主に根量の違いが水放出量を規定していたと考えられた。その一方で、供試した植物種の1つは根量当たりの水放出能が著しく高いことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Stomatal density of cowpea correlates with carbon isotope discrimination in different phosphorus, water and CO_2 environments.2008

    • 著者名/発表者名
      Sekiya & Yano
    • 雑誌名

      New Phytologist(掲載確定)

    • 査読あり
  • [学会発表] 植物スプリンクラー:植物で植物を灌漑する2007

    • 著者名/発表者名
      関谷・矢野
    • 学会等名
      第18回日本MRS学術シンポジウム
    • 発表場所
      日本大学理工学部
    • 年月日
      2007-12-07
  • [図書] 根の生態学2008

    • 著者名/発表者名
      矢野(分担)
    • 総ページ数
      364
    • 出版者
      シュプリンガー・ジャパン

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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