研究概要 |
医薬品やその研究開発に必要な有用生物活性化合物を、大量にしかも地球環境に負荷をかけることなく実用的に供給する方法を開発することを目的とし、「単一不斉触媒による連続不斉中心構築法」の開発および「有用生物活性化合物の効率的合成」への展開の検討を行った。(1)先に我々が開発した不斉相問移動触媒TaDiASを触媒ニよるとして用いる不斉Michael反応と、立体選択的多段階の環化反応を鍵反応として用いることで,Cylindricine C短工程合成ルートを開発することに成功した。今回、環化反応の立体選択性を逆転させることに成功しLepadiformineの短工程形式不斉合成を達成した。また、第3世代のTaDiAS触媒を用いることで、不斉Mannich型反応の選択性を向上させることに成功し、抗精神病薬Nemonaprideの効率的不斉合成法の開発を達成した。(2)In触媒によるアルキニル化反応において、ビフェノール型の配位子が反応性を大幅に加速化することを見いだした。また、求核剤として新たにアセチレンのアセトン付加体を用いる反応条件を確立し、合成化学的に有用な様々な光学活性プロパルギルアルコールを高い不斉収率(最高99%ee)で合成できるようになった。(3)アリルアルコールを直接接用いる、触媒的なアミノ化反応を促進する白金触媒系を開発することに成功した。本反応は、従来の方法で必要であった等モル量以上の試薬を用いる基質の活性化が必要でなく、共生成物は水飲みという環境調和性の高い触媒反応である。本触媒反応はモノアリル化体を選択的に合成できるという特徴を有しており、また、本触媒反応を用いることで抗真菌薬naftifineの1工程合成法の開発にも成功した。
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