研究概要 |
非メチル化DNA刺激したDCによるインターフェロン産生には二つの特徴がある。一つはプラズマ細胞様DC(plasmacytoid DC,pDC)が多量のインターフェロンを産生可能であるのに対し、通常のDC(conventionalDC,c DC)は不可能であることである。もう一つは非メチル化DNAのうち、CpG-Aといわれるものは多量のインターフェロンを産生するがCpG-Bはごく少量の産生にとどまることである。この多量のインターフェロン産生がMyD88-IRF-7経路に完全に依存することをノックアウト細胞を用いた実験で明らかにした。また、この産生に至る機序を探るために、蛍光分子でラベルした非メチル化DNAの挙動を観察したところ、pDCにおけるCpG-Aのみがエンドゾームに非常に長い時間(5時間以上)局在することがわかった。一方のpDCにおけるCpG-AあるいはcDCにおける両者の核酸は刺激後速やかにリソソームに輸送される。このことからエンドゾームがシグナル伝達の場であり、ここに核酸が長時間局在することが多量のインターフェロン産生する条件であることが示唆された。この仮説を検討するために、細胞内の核酸輸送に対して人為的に変調することを試みた。ある種のカチオン性脂質はDNAと複合体を形成し、DNAを長時間エンドゾームに貯留させる効果を有することが報告されている。そこで、DNAをカチオン性脂質との複合体を形成させた後細胞に投与させたところ、cDCにおいてCpG-Aが長時間エンドゾームに滞在した。同一条件下でインターフェロン産生を測定したところ、興味深いことにpDCと同程度のインターフェロン産生が認められた。 他方IRFに属するIRF-4がIRF-5と競合的にMyD88と結合するためIRF-5依存性の炎症性サイトカインの産生を抑制することを示した。
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