研究概要 |
1、10種類の頭頸部扁平上皮癌細胞株を用い、MTT assay、flow cytometryを用いた解析で、全てにおいてCDDP耐性変異株を作成した。 2、2色蛍光cDNA microarray解析、Codelink bioarray(Amersham bioscience)を行い、RPMI2650,HSQ89,IMC4の親株、耐性変異株において、cluster解析で全体的に共通の発現様式を示した。cDNA microarray解析では耐性変異株で発現上昇した399遺伝子の内最も耐性を獲得したRPMI2650耐性変異株で2倍以上発現が上昇した遺伝子は205個であった。Codelink bioarray解析ではRPMI2650耐性変異株で10倍以上発現上昇していた遺伝子が17個、1/10以下に発現低下した遺伝子が11個、3種類の耐性変異株で共通に発現上昇していた遺伝子は26個、共通に発現低下していた遺伝子は33個であった。 3、半定量RT-PCRにて、今回抽出された遺伝子のうち8遺伝子(89%)でmRNA発現の再現性を確認した。 さらに双方において耐性変異株で10倍以上発現していたIGF2において、 4、Real time PCR、immunoblottingにて、IGF2がRPMI2650変異株で高発現であることを確認した。 5、発現ベクターを用いたIGF2強制発現にてRPMI2650株はCDDP耐性化表現型を獲得し、アポトーシス抑制がおこる事を証明した。 6、IGF2をsiRNAによりknockdownすると、耐性化表現型の減弱を示した。 以上よりヒト頭頸部扁平上皮癌細胞におけるCDDP新規耐性化機序としてIGF2を中心としたアポトーシス経路が重要な役割を示している事を証明し、将来のsiRNAや阻害薬などの開発により、CDDP化学療法と組み合わせた頭頸部癌治療の新戦略の開発の可能性を示した。
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