培養細胞と骨髄細胞とのin vitroでの細胞融合を試みるため、血管内皮細胞との共培養を試みた。共培養により血管内皮細胞の管腔形成能が上がること、人によりその誘導機能に差が有る可能性があることがわかり、そのメカニズムを調べたが、融合現象が関与していることを確認するには至らなかった。ヒトにより骨髄幹細胞機能に差があることがわかった。高齢者では若年者に比べ、幹細胞といっても、その機能が低下していることが知られている。我々も日本人で同様のコントロール研究を行い確認した。特に、若年者ではその機能が高く出るので、低下した際の影響がどう出るか興味のあるところである。我々は若年者に発症する、特発性脈絡膜新生血管を対象にして、末梢血幹細胞機能、血清機能の変化を調べた。血清機能は血管内皮細胞、末梢血幹細胞を用いて適当な血清希釈下に培養し、その変化を見た。その結果、特発性脈絡膜血管新生患者では若年であるにもかかわらず、それら機能は有意に低下しており、疾患発症の鍵となっている可能性が示唆された。これらに細胞融合現象が関与するのか検証するために作成した骨髄移植動物モデルでも細胞融合現象はほとんど確認できず、これらの効果は細胞融合とは関係なしにも十分起こりうることであることが示唆された。しかし、今後も更なる培養システム、条件の改善を行い検討を進めていく。
|