研究概要 |
本研究では、一対の三軸コイルを用いる顎運動測定器(CS-IIi)の小型・高精度化を行うことで、携帯型顎運動測定器の開発を目指している。この測定器が完成することで歯科診療に影響する日常生活におけるくいしばりや睡眠中のブラキシズムなど発現時など観察する手段のない下顎の動態を明らかにすることができる。本年度はCS-IIiのセンサコイルに比較して、コイル線材の直径を0.1mmから0.025mmに変更し巻数を増加することで測定信号のS/N比の向上と小型軽量化(体積:13×13×131mm、CS-IIi比1/8,重量:0.25g、CS-IIi比1/10)を両立させた小型三軸コイルの開発を行った。このセンサコイルの性能評価を行った結果位置分解能は0.10〜0.21μm(CS-IIi:2.55〜3.87μm)、時間安定性は0.91〜4.50μm(CS-IIi:-9.17〜23.66μm)、動的安定性は4.80〜7.64μm(CS-IIi:37.42〜52.17μm)とセンサコイルとして優れた性能を実現した。現在は巻数を一部変更し樹脂でモールドした小型センサコイルを用いた測定器の試作を進めている。年度内の完成は困難であるが近日中の完成が期待できる。本研究成果を日本顎口腔機能学会第38回学術大会(名古屋)、第116回日本補綴歯科学会(神戸)で報告するとともに日本顎口腔機能学会雑誌に投稿した。また第9回次世代医療システムフォーラム2007(大阪)および先端イノベーションの都大阪平成19年度研究開発交流会(大阪)において共同研究を提案し関心を示し,た企業の協力を得てより小型のコイルの試作を依頼している。三軸コイルの構造を工夫するなどさらなるセンサコイルの小型化を行う予定であり本研究成果を発展させる準備を進めている。
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