本年度は、従来からの研究を推進するとともに、前年度にセットアップしたライカ社製のマイクロダイセクション装置を用いた同一検体丙の癌部、上皮異形性部、正常部のcDNA array解析を開始し、さらに、新たな試みとして、全ゲノム25万部位のSNPsを用いたDNAコピー数の数的異常に関する解析を開始した。 (1)「ライカ社製のマイクロダイセクション装置を用いて、同一検体内から癌部、上皮異形性部、正常上皮からサンプルを採取し、Filgen社製ArrayHuman 35Kを用いて35000遺伝子の網羅的解析を行う一連の手法をセットアップし、実際に舌癌4症例を対象に解析を開始した。 (2)「FNA-FISR法を用いて口腔癌検体におけるEGFR遺伝子の数的異常を解析し、同遺伝子を解析することは悪性度診断に有用であることをみいだした。この結果については、日口外誌52巻12号684〜688 2006年に報告した。 (3)「FNA-FISH法を用いて同一口腔癌検体におけるcyclin-D1(11q13)とp16(9p21)両遺伝子の数的異常を解析し、両遺伝子を解析する方が、悪性度診断にはより有用であることをみいだした。この結果については、論文を作成し、投稿準備中である。 (4)「現在まで収集し、臨床的・病理組織学的情報が整備されている口腔扁平上皮癌症例を用いて、口腔癌におけるゲノム異常について、ヒト全ゲノム25万部位のSNPsを用いたゲノムarray解析を開始した。
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