研究概要 |
本研究の目的は,連結度制約を持つグラフ・ネットワーク設計問題を中心に,それらを解く効率的なアルゴリズムを構築することである.グラフ理論における連結度の概念は,ネットワークの制御・設計において,耐故障性に関する基本的な評価尺度として用いられる. 与えられた無向グラフに,最小本数の辺を加えることでその辺連結度を目標値以上に増大させる問題は,辺連結度増大問題と呼ばれ,多項式時間で解けることが知られている.さらに近年,この問題の一般化に関する研究も精力的になされてきている.無向グラフ,節点(領域)部分集合族w,関数fw→Z+(Z+は非負整数集合)が与えられたとき,最小本数の辺を加えることで各点vと各領域W∈w間の辺連結度をf(W)以上に増大させる問題は,節点領域辺連結度増大問題と呼ばれる.この問題は,辺連結度増大問題の一般化の一つであり,これまで全てのW∈wについて,f(W)=1の場合でさえNP困難であることが知られている.これに対し,全てのW∈wについて,f(W)≧2なら問題が多項式時間で解けることを示した. k個の資源集合と呼ばれる節点集合族{T1,T2....Tk}(各|Ti|は偶数)を持つグラフが与えられたとき,各Tiを丁度半数ずつ含むように,グラフを2つの連結部分グラフに分割する問題は,選挙区や校区など公平な区画割に応用がある問題である.この問題は,一般にはNP困難であることが知られている一方,k=1,2の場合,グラフが(k+1)点連結であれば必ず分割が存在し,多項式時間で見つかることも知られている.この問題に対し,k≧3の場合,(k+1)点連結であれは必ず分割が存在すると予想されていたのに対し,k=3の場合反例を示し,さらに4点連結でかつ4点完全グラフを含むなら必ず分割が存在し,その分割が多項式時間で求まることを証明した.
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