研究課題
累積変数を持つ関数プログラムの融合変換手法について、勝股審也氏と共同研究を行った。累積変数がある場合の融合変換については、研究代表者による先行研究等があるが、その融合変換アルゴリズムは何段階かの込み入った手続きを経なければならなければならない。このため、変換手続きの正しさを示すのにはかなりデリケートな議論が必要となり、結果的にこの融合アルゴリズムを一般化しより広範囲に適用するのはとても困難な状況にあった。共同研究において、累積変数つき関数プログラムの合成をある種のモノイド準同型上の計算とみなすことができ、これによって先行研究で提案された融合変換手法を著しく明解に記述することが可能になり、また他のいくつかの融合変換手法もこの枠組の中で自然に説明できることが明らかになった。この研究は高い評価を受け、関数型プログラミング言語研究に於けるもっとも著明な国際会議であるICFP'06において採択された。現在、同研究内容を拡張しまとめた結果を共著論文として国際有力雑誌に投稿中である。累積変数つき関数のプログラム融合変換手法について重要な知見が得られたことで、再帰的計算の途中結果を消費しながら計算を行う再帰プログラムの融合変換についても研究が加速できると考えている。また上記研究と並行して昨年度行っていた、Separation logicを用いたデータ並列プログラムのためのプログラム論理に関する研究を完成させ、国際会議AMAST'06において発表した。この研究で提案したデータ並列計算のためのプログラム論理は、メモリに関する破壊的操作を許すような逐次プログラムから、並列プログラムへのプログラム変換のための理論的基礎を築くものである。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
Algebraic Methodology and Software Technology, 11th International Conference, AMAST 2006 LNCS 4019
ページ: 293-307
ICFP'06: Proceedings of the 11th ACMSIGPLAN International Conference on Functional Programming
ページ: 227-238