研究概要 |
ソフトウェアアルゴリズムの分野で研究されている文字列処理の高速化手法を専用ハードウェアとして実装することを目標とし,ハードウェア化に適したアルゴリズムの開発を行っている.本年度は,相同性検索を含む文字列処理のための既存のソフトウェアアルゴリズムについて調査を行った.相同性検索においては,与えられた二つの文字列についての類似度の計算に加え,どの文字列とどの文字列を比較するかという「アライメント」と呼ばれる情報が必要であるが,この二つの情報の間の関係が明らかにされていないことがわかった.我々は,この対応を定式化することで,アライメントを求めるためにどういう情報が必要かを明らかにした.(この成果を論文としてまとめ,「情報処理学会論文誌:数理モデル化と応用」に投稿し,採択された.)さらに,類似度の計算における既存の高速化の手法である「ビットパラレル手法」が,アライメントを求める計算にも適用できることが分かった.(この成果は論文として国際学会に投稿中である.)また,このビットパラレル手法を応用することによって,複数プロセッサに対するハードウェア的な相同性検索の高速化の手法が,ソフトウェア的に実装できることが分かった.(この成果は論文として国際学会に投稿中である.)これはつまり,ビットパラレル手法の詳しい解析による一般化の結果,この手法が他の計算にも利用できることを明らかにし,また,その一般化が特定のハードウェアに制限されないことを示したということである.
|