研究概要 |
本研究では,ソフトウェア開発におけるテスト工程の効率化を目的とし,ソフトウェア中の不具合を検出する能力の高い,強力なテストケースの設計手法の開発を行う.具体的には,組合せテスト(combinatorial testing.ペアワイズ法,全ペア法とも呼ばれる)に注目し,1.テストケース作成手法とツールの開発,及び,2.実ソフトウェアへの適用による有効性の検証を行う.1.に関しては,従来の理論的成果が仮定している非現実的な条件の緩和を行うことで,実際のソフトウェア開発に適用可能な理論を築き,それに基づいたテストケース設計ツールの開発を行う.2.に関しては,1.で開発したツールを用いて,現実のシステムへの適用を実施し,有効性の定量的な評価を行う. これらの目標を達成するため,本年度は具体的に以下の研究を行った.まず,1.の課題に関しては,これまで考慮されていなかったテストケース実行のためのオーバヘッドを考慮した問題の定式化に着手した.これは,例えばプリンタや複写機のテストを想定した場合,テストケースの実行の際に,用紙トレイや印刷対象の大きさなどを設定するためのコストをモデル化したものである.直感的には,連続するテストケースでこのような設定の変更ができるだけ生じないようにテストケースを順序付けるのと同時に,組合せテストの条件も満足するテストを設計することを,最適化問題として表現したものと言う事ができる.2.に関しては,実際のソフトウェア開発の現場での利用が可能なように,スプレッドシート上でテストケースの設計・操作を行う方法の開発を行った.
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