高品質・大規模なソフトウェアを効率よく開発するために、特定の規格に従ってソフトウェア部品としてのコンポーネントを開発し、コンポーネントを再利用し組み合わせて新たなソフトウェアを迅速に開発する手法(コンポーネントベース開発)が提案されている。しかしながら、従来のコンポーネント開発を支援する試みは、再利用することを前提として開発されたコンポーネントの扱いを目的とし、有用な機能を含むにも関わらずコンポーネントの集合として開発されていない既存のソフトウェア資産(例えばプログラム資産)を扱うことができない。そこで本研究では、コンポーネントの形態をとらない大量のオブジェクト指向プログラム資産について、独立して再利用可能かつ高品質なコンポーネントを自動的に抽出し、コンポーネントの単位で検索と再利用を支援する仕組みの実現を目指している。具体的には平成17年度において、同仕組みの実現に必要な要素技術として、コンポーネントの品質特性全体を定量化する測定法集合(メトリクス)の提案、プログラム解析に基づくコンポーネント抽出・接続手法の提案、および、全手法を統合的に実装した高品質コンポーネント自動抽出システムの構築を行った。本システムの利用により、大量のオブジェクト指向プログラム資産から開発者の目的に合致した高品質なコンポーネントを得て、コンポーネント間の自動的接続により新たな高品質ソフトウェアを効率よく開発することが可能となる。
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