科学データ転送クラスタでの、アプリケーションの並列実行用のソフトウエアメモリシステムの設計を行った。ソフトウエア共有メモリではアクセスの排他制御が非常に難しいが、科学データ転送クラスタではデータ転送用に高速なネットワークインタフェースを持っているため、その帯域を最大限に活用する投機的なメモリアクセスによって、並列スレッドのメモリへのアクセスを高速化する。 また、科学データ転送クラスタ実現に向けたデータ転送の基盤となるTCP/IPの高速化を行った。科学データは世界の研究拠点間で交換されるため、科学データクラスタ非常に大きな遅延をもつ広帯域のネットワーク(Long Fat Network)によって接続される。そのインターフェースが近距離のクラスタ内通信と遠距離での拠点間通信を実現する必要があり本年はまず、この拠点間通信の高速化を行った。東京-シアトル-アムステルダム-シカゴ-東京を結ぶ30000kmのネットワークにおいて、IPv6で7Gbpsを超える速度でのTCP/IP通信を実現することができた。このネットワーク性能を用いて、科学データ転送クラスタ内での通信速度の最適化を行い、高速高帯域なイーサネット接続を活用した投機的並列メモリアクセスを実現する。
|