• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2006 年度 実績報告書

スケジューリング理論に基くネットワーク通信品質保証技術の設計に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17700054
研究機関電気通信大学

研究代表者

古賀 久志  電気通信大学, 大学院情報システム学研究科, 助教授 (40361836)

キーワードオンラインアルゴリズム / TCP / キュー管理 / アドホックネットワーク / 優先制御
研究概要

本年度は、TCPプロトコルにおける到達確認応答機構の理論的解析に取り組み、TCPのack発行回数と通信品質(遅延)との関係を評価した。従来の理論モデルではackパケットが送信者のパケット送信タイミングに与える影響を考慮していなかったのに対し、本研究ではTCPのスライディングウィンドウ機構を考慮したモデルを提案した。これにより、到達確認応答アルゴリズムの性能を送信者と受信者の相互作用まで反映して評価可能になった。このモデルにより、TCPのトラフィックレートが高い時はdelayed ackで長時間待つのは得策ではないという解析結果を得た。今後はこの知見から、TCPトラフィックの量に合わせてdelayed ackの待ち時間を適応的に変えるアルゴリズムの構築を目指す。なお、本成果は情報処理学会アルゴリズム研究会にて発表した。
次に、昨年度から継続して、TCP輻輳制御理論を利用したルータでのアクティブキュー管理機構(AQM)の研究を進めた。提案AQMアルゴリズムでは、ルータにTCPコネクション群のRTT平均値を推定する機構を組み込み、データ送出レートを下げるべきTCPコネクションの割合を推定RTT値とTCP輻輳制御理論から算出し、これから個々のパケットに対するマーキング確率を決定する。今年度はns-2でのシミュレーションシナリオを増やして評価し、提案手法が
・REMよりもトラフィック変動に対して強く、短時間でキュー長を安定状態に戻す。
・REDよりもパケット再送量を減らせる。
という評価結果を得た。この成果は国際会議IEEE Conference on Local Computer Networksにおいて採択論文となった。
また、モバイルアドホックネットワークにおける通信品質保証に着目し、優先制御ベースのQoSルーティング方式の検討を行った。従来のQoSルーティングは資源予約ベースの方式が大半であるが、アドホックネットワークでHardQoSを目指すのは現実的ではないとの着想の下、本研究では高優先度コネクションが低優先度コネクションよりも相対的にスループットが高くなることを目指した。特に、通信品質保証を必要とするマルチメディア通信の多くが双方向通信であることに着目し、高優先度コネクションは上りパスと下りパスを別々にして、自己干渉を減らすことで低優先度トラフィックよりも優先されるルーティング方式を検討した。フローレベルシミュレーションで提案方式の有効性を確認し、電子情報通信学会情報ネットワーク研究会で成果発表した。今後はパケットレベルのシミュレーションを進める。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Dynamic TCP Acknowledgment with Sliding Window2007

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Koga
    • 雑誌名

      情報処理学会研究報告 AL110-1

      ページ: 1-8

  • [雑誌論文] A Priority-based QoS Control in Mobile Ad hoc Networks Exploiting Multipath Load-aware Routing2007

    • 著者名/発表者名
      Aly Niaph, Hisashi Koga, Hiroshi Kitamura, Toshinori Watanebe
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告 IN2006-186

      ページ: 37-42

  • [雑誌論文] A New Stable AQM Algorithm Exploiting RTT Estimation2006

    • 著者名/発表者名
      Hayato Hoshihara, Hisashi Koga, Toshinori Watanabe
    • 雑誌名

      Proc. IEEE Conference on Local Computer Networks (LCN) 2006

      ページ: 143-150

URL: 

公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi