ネットワークモビリティ制御技術として提案されているNEMO Basic Supportプロトコルとマイクロモビリティ制御技術として提案されている階層化モバイルIPv6プロトコルを組み合わせて利用することにより、ネットワークの移動を伴う環境下での高品質ブロードバンド通信が実現できると考えられる。しかしながら、多数のMobile Node (MN)が接続されているネットワークの移動を考慮した場合、この方法では、システムスケーラビリティが劣化する問題がある。 そこで、本年度は、そのような問題の1つとして、移動ネットワークがMobility Anchor Point (MAP)間ハンドオーバを伴うアクセスルータ間ハンドオーバをする際に、その移動ネットワークに接続しているMNがHome Agent (HA)や通信相手端末(Correspondent Node : CN)との通信を再開するまでに要する平均時間(平均MAP間ハンドオーバ時間)が増加する問題に注目し、研究を進めた。具体的には、問題の原因が、MNが新MAPで利用するIPアドレスをHAやCNに通知する多数の経路最適化メッセージの同時発生にあることに着目し、その同時発生数削減のため、同一移動ネットワーク内のMN群のモビリティを制御ドメインの異なる複数MAPを用いて制御するネットワークモビリティ制御方式を提案した。また、ns2を用いたシミュレーション実験を行い、多数のMNが移動ネットワークに接続される環境において、提案方式を利用することにより、それらMNの平均MAP間ハンドオーバ時間を短縮できることを確認した。 最後に、本研究の成果を、2006年電子情報通信学会総合大会で発表した。
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