前年度は、多数のMobile Node(MN)が接続されているネットワークが移動する環境において、制御ドメインが互いに部分的に重なり合う複数のMobility Anchor Point(MAP)を利用することにより、制御メッセージの氾濫による制御効率の低下を抑制する分散型ネットワークモビリティ制御方式を提案した。 今年度は、より効率的な分散型モビリティ制御を実現するために、ネットワーク内に多様な制御ドメインの大きさを持つ複数MAPが展開される状況に着目し、それらの複数MAPを移動ネットワーク内のMN群が効率的に利用するためのMAP選択手法に関して研究を進めた。ここで、ネットワーク内に複数のMAPが存在する環境下では、同一移動ネットワーク内のMN群が、それらのMAPを均一的に分散利用することが望ましいが、その一方で、制御能力(制御ドメインの大きさ)が異なる複数MAPが存在する場合には、MN群が自身の要求に合致する制御能力を持つMAPを利用できることも望まれる。そこで、本研究では、これらの要求を満たすため、移動ネットワーク内の全MN群に対する自身の相対的な通信量を基に、そのMNが利用するMAPを決定する手法を提案した。また、C++を用いたコンピュータシミュレーション実験を行い、提案方式を用いることにより、複数MAPの分散利用を維持しつつ、移動ネットワーク全体としてのパケットロス数を低減できることを確認した。
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