研究概要 |
コンピュータソフトウェアの著作権保護を可能とする計算機システムの実現に関する研究を推進するために,本年度は研究のハードウェア・プラットフォームとして用いる,ハードウェア・ソフトウェア協調処理システムRICE開発とそのライブラリ整備を重点的に行った.我々の考える著作権保護を効率的に行うことが可能なシステムは,その基本となるプロセッサシステムとそれに効果的に融合できる再構成可能な集積回路によって構成される.そこで開発したRICEには,プロセッサと再構成可能な集積回路,それらが用いるメモリ,さらにそのプラットフォームをPCで制御するためのインタフェースを搭載し,それらをFPGAで接続した. 上述のRICEを用いて研究を推進するためには,RICE上の再構成可能な集積回路を確実に制御する必要がある.そこでRICE上のFPGAに再構成を制御するための回路を実現した.それに併せてPCインタフェースのためのハードウェア・ライブラリやファームウェアの開発も行った.それらを用いた評価結果から,予想された最適な時間で再構成が可能であることが確認できた. 上記の課題と共に,RICE上のプロセッサを正確に制御することも重要な課題の一つである.特にRICE上のプロセッサのメモリバスは,メモリ直結でなく再構成可能な集積回路を介して接続されている.したがってプロセッサとその集積回路による協調動作を実現する必要があった.開発システムの評価結果から,プロセッサの最大速度で協調処理を正確に行えることが確認できた. 以上の結果から,著作権保護を可能とする計算機システムを具現化するための基本環境の構築が終了した.今後はこの環境を用いて効率的な計算機システムの構成に関する検討を行う予定である.
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