研究概要 |
本研究では,提案する無線LANにおける自律分散型のアクセスポイント選択方式の実装を進めるとともに,現実的な利用環境にも対応できるよう拡張を行い,その性能について評価を行った.本年度の研究成果は以下の通りである. (1)提案手法の実装 提案方式の実装については,無線LANについて実際に研究開発を行っている国内の企業と連携して進めている. (2)干渉を考慮したアクセスポイント選択への拡張 無線LANの整備に伴いアクセスポイントの設置台数も増加し続けているが,IEEE 802. 11b/gでは,チャネル(周波数帯)がオーバーラップして割り当てられており,近接チャネルを利用しているAPや端末間で電波干渉が生じる.提案方式においても選択指標であるパケットエラーレートの算出に受信電波強度を利用しているため,算出過程において電波干渉を考慮しないと適切なアクセスポイントを選択できず,効率の良い通信が妨げられてしまう可能性がある.そこで,実環境において電波干渉が通信に与える影響の調査を行い,その結果から,各STAが自律的に電波干渉を考慮してAPを選択するよう提案手法を拡張し,その有効性をシミュレーションにより示した. (3)マルチホップ無線LANへの拡張 これまでの提案アクセスポイント選択手法は,APとSTA間だけを無線リンクで接続するシングルホップ環境を想定していたが,通信容量の増強や設置の容易さなどの利点から,複数のアクセスポイントを相互に無線で接続し無線LANを構築するマルチホップ無線LANが注目を集めている.そこで提案手法をマルチホップ無線LAN環境に対応できるよう拡張し,その効果をシミュレーションにより明らかにした.
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