H18年度は、H17年度までに基本アルゴリズム開発してきたアナログIPポーティングにおける自動拡散融合、ウェル共有、自動コモンセントロイド配置合成など機能を、商用設計システムとI/Fをとった自動ポーティングシステムへ組み込む拡張開発を行った。また、近年問題となっている信号ノイズに関する諸問題に対応するために、等長配線制約やクロストーク制約を扱うコンパクションアルゴリズム開発も行った。具体的には、デバイス素子配置と配線、つまりレイアウトをシーケンス・ペア法で表現し、このレイアウトに対して課される等長配線制約やクロストーク制約を線形制約式で表現し、チップ面積を最小化する線形計画問題として定式化している。プロトタイプによる計算機実験では、ノイズ抑制、及び実行時間ともに実用レベルの良好な結果を得ることができた。この成果は国際会議などので発表している。これにより、ノイズ対策を考慮した自動ポーティング技術の基礎を確立できたといえる。さらに、この開発したシステムを利用して、センサ型アナログIPと類似する液晶用ドライバICのIP化に対する適用事例開発を行った。回路データは共同研究企業から入手し、マニュアルレイアウトと本開発システムによるレイアウトの両方に対して、実際のICの試作し、評価した。その結果を比較したところ、ガンマカーブ測定等の評価項目等について、ポストレイアウトシミュレーション、及びテスタ評価ともに、自動ポーティングした結果は、製品レベルのマニュアル設計した結果とほぼ同等の性能を有することを確認した。これにより、当開発システムは実際設計に適用できる、という見通しを得ることができた。
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