研究概要 |
平成18年度は,主に(1)日本語の高精度な意味理解手法(2)誤認識に対する頑健な言語理解手法(3)タスクに依存しない音声対話インタフェースの3点について個別に考察を行った. (1)については,日本語の多様な表層表現を吸収するために,すべての述語句を,断定「ある」の構造に変換することで,同じ意味を持つ様々な文を同一の意味として理解するために必要となる枠踏みを検討した.人工知能学会学会誌にて報告している. (2)については,音声対話システムでは避けて通れない誤認識に着目し,認識された単語に対してその単語がそれまでに言われた可能性を示す単語スコアを推定し,それらと応答文との関係から,ユーザの発話意図とシステムの誤認識を推定する手法を提案した.さらに,複数の音声認識器を併用することで,単語信頼度の精度を向上させるとともに,それまでの単語履歴や応答内容から次にユーザが発話すると考えられる単語集合を予想し,予想された単語の単語生起確率を,それ以外の単語よりも上昇させることで音声認識率や言語理解率を向上させた.情報処理学会音声言語情報処理研究会と,人工知能学会言語・音声理解と対話処理研究会で報告している. (3)については,家電操作を行う音声インタフェースを実装した.この音声インタフェースでは,ビデオ,エアコン等の家電の種類ごとに標準モデルを作成し,ユーザの操作対象を機器ではなく標準モデルにすることで,標準コマンドと実際の機器の赤外線コマンドの対応表を機器ごとに用意することで,ある種類の別のメーカの機器を操作する状況になっても,ユーザは同じ感覚で機器が操作可能となる.
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