研究課題
スポーツの試合中継などで、人間のカメラマンの行為、カメラを切り替えるスイッチャーが行う行為は、スポーツの内容が視聴者に伝わるよう実際に放映される映像の構造を考慮した思考に基づいて実施される。その構造は、言語と同じく、非連続要素(ショット)の一次元的接続に従う。これは、ソシュール言語学でいう線状性と構造上等価であり、そのショットの接続では、言語学でいう統語規則に相当する文法的な観点との対比が浮き彫りとなる。つまり、スイッチャーによるカメラの切り替え、また編集者による編集が文法と対比される。この点で、本研究では、放送局で実用的に用いられる映像文法という概念を用いて研究を行っているが、映像と文法との関係に関する議論は、1940年代また1960年代で取り上げられて以来、近年の言語学の進展を反映した対比が行われていなかった。本研究では、言語的性質を計算機システムに導入する技術的手法を見出すことも目的の一つとなっている。そこで、文法という概念の本質を見極めるため、古代ギリシアに端を発し、近代に至る文法の概念の変遷を調査し、学内誌に掲載した。また、文法という概念は、意味との関係で、独立・非独立的に扱う相互の立場がある。映像の世界でも、文法と対比される編集行為自体に意味との対応を見るモンタージュ論と、編集行為にむしろ意味を持たせないように編集を行うデクパージュがある。この点で、モンタージュと呼ばれてきた内容を調査し、学内誌に掲載した。また、ソシュール以来の近代言語学では、人間の個人性と切り離した社会的な意味での言語学が進展してきたが、近年の認知言語学では、むしろ言語は人間の認知機構と切り離せないとする立場をとる。この立場は、映像を言語的に取り扱う上で、これまでの近代言語学より映像の言語的性質を説明する重要な示唆を含む。この認知の問題を取り扱うため、脳から見た言語と認知の関係を調査し、学内誌に掲載した。
すべて 2007 2006
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龍谷理工ジャーナル No. 52, Vol. 19-1
ページ: 5-16
龍谷理工ジャーナル No. 50, Vol. 18-1
ページ: 12-22
龍谷理工ジャーナル No. 51, Vol. 18-2
ページ: 1-12
Proc.of the second IEEE International Workshop on Multimedia Information Processing and Retrieval(IEEE-MIRP) (CD-ROM)