研究概要 |
平成17年度においては,下記の基礎的な3項目について研究を遂行した. 1.混同色線理論と色覚異常者の色覚モデルに基づく色混同の検出 2.色覚異常者における色混同の度合いの定量的評価 3.色覚特性の評価実験用ソフトウェアの作成に関する検討 1.混同色線理論として知られる混同色線による混同色の検出の精度を検証した.すでに,申請者は混同色線上に重なる色を混同色として検出する研究を進めている.しかしながら,色混同の度合いを定量的に判定するまではいたっていない.そこで,実際に色覚異常者が観測していると推測される色覚モデルによる色の見え方と,混同色線理論に基づく混同色の検出結果を比較し,混同色線理論,および,色覚異常者色覚モデルの有効性とその精度について精査した. 2.混同色線理論により求まる二色間の混同色線のなす角度と,色覚異常者の色覚モデルにより求まる色覚異常者の見え方による色差の関係から,定量的な色混同の度合いを算出するモデルの構築を目指した.実際に,色覚正常者に対して視覚実験を行った.本実験を適切に行うために,色調整の可能なディスプレイを遮光性の高いカーテンにより覆い,ディスプレイのバックライトのみの状態にて実験を行った. 3.評価実験用ソフトウェアを作成し,遮光カーテン内にて色覚実験を行った.Weberの法則として知られる輝度が明るいときの色の弁別閾が広がることを確認し,さらに,青系統と黄系統の色では色の弁別閾が異なることなど,今後の研究の実用化を図る上でも重要な測定結果を得た.
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