本研究の目的は、テレマティックス音声対話におけるドライバの操作負荷を定量化することである。本年度の成果は以下の通りである。 (1)情報処理学会・学会試行標準ワーキンググループの活動の一環として、車載音声対話システムのディストラクション評価に関する検討をすすめた。また、マルチモーダル音声対話システムの設計およびコンテンツ記述に関する検討を行い、FIT2006イベント企画「音声・マルチモーダル対話記述とその標準化」にて発表した。また、音声対話技術コンソーシアムにおけるGalatea Toolkit開発の一環として音声対話エンジンの改良を進めた。 (2)頭部モーションセンサと音声入力を併用した入力システムの検討を前年度に引き続き行った。ユーザの音声入力に対するシステムの応答を聞きながら頭を縦や横に振ることにより肯定や否定の意思表示を行う入力インタフェースの提案と試作、評価を行った。特にモーションセンサと効果音によるフィードバックを併用した手法が良好であるとの示唆を得た。 (3)心的負荷に関して、特にNASA-TLXなどの主観的尺度について、本研究の着眼点であった客観的尺度を併用することを念頭に置いて検討した。また、テレマティックスにおいて情報の効率的な伝達に有用と考えられる早口音声の聴取は、若年者と合わせて高齢者も新たな対象にして実験を行った。さらに、対面朗読者と視覚障害者の対話分析に基づくショッピングカートモデル型の対話システムを実装し、予備的な評価を行った。これらは最終年度に心的負荷の評価対象として用いる予定である。
|