研究概要 |
近年,3次元形状情報をもつデータが利用しやすくなってきて,色情報だけでなくその立体的な形状を有するデータのニーズが高まっている.そこで,本研究では,3次元形状情報と色情報を同時に有するデータを介した人間と情報機器,人間と人間インタラクションの実現を目指し,その基盤技術の開発を目的としている.H17年度は,以下の2項目について研究を行った. 1.3次元部分形状と色情報の同時計測システムの構築 対象物体の部分的な3次元形状と色情報を同時に計測するシステムを構築した.3次元スキャナと高性能ディジタルカメラを購入し,相互の位置関係や向きを簡単にキャリブレーションを行うことのできる計測システムを構築した. 2.自動・高精度位置合わせアルゴリズムの開発 複数の方向から得たデータを組み合わせて対象物体の3次元形状を獲得するためには,データを得た視点の位置と姿勢をデータ自身から推定する位置合わせが必要である.今年度は,位置合わせを自動化するために,グラフカーネルアルゴリズムに基づく大域収束する位置合わせ手法を提案した.本手法では,既存の手法とは異なった発想に基づき,自動位置合わせのための計測点の対応付けの問題をグラフ上での離散最適化問題として定式化した.すなわち,個々の対応付けの類似性を独立に評価することによって探索するのではなく,組合せの整合性を評価し,整合する対応付けの組合せをできるだけ多く見つけるというアプローチである.これにより,局所解に陥ることなく大域に最適な計測点の対応付けの組み合わせを一意に求めることが可能となった.
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