超解像画像復元問題においては、焦点ずれによるボケなどの光学的劣化と加法性ノイズの影響とを補償する一般的な画像復元問題における要求に加え、観測画像に比べて解像度を大きく向上させるために、未知数に比べ制約式が不足するunder-determinedな問題となる。さらに今回想定している、不可逆圧縮が施された動画からの超解像問題では、多対一写像の逆を推定する必要性がさらに加わるために、広い可能解集合から適切な画像を算出しなくてはならない。 本年度は適切な解候補の探索に向け、幾つかの画像品位に関わる評価尺度を導入し、可能解集合上でこの評価尺度を最適化する手法を提案している。まず、防犯カメラのみならず、最も広く用いられている画像圧縮手法であるMPEG圧縮について、その圧縮特性により定義される可能解集合へ漸近するための作用素を提案した。また画像のエッジ情報を保存するための評価尺度として全変動(Total Variation)やJPEG圧縮ノイズ抑圧に用いられていた隣接画素間差分情報を導入して、この尺度を適切な量とする手法を幾つか提案している。あるいは解像能力が低いカメラや劣悪な撮像条件下においてリアルタイムで画像品位を高あるため、低計算量で実現可能であり雑音への耐性が高い、適応システム同定アルゴリズムに基づいたリアルタイム道が超解像手法も提案している。さらに、従来防犯カメラにおいては単色画像を扱っていることが多かったが、カラー画像を撮像可能なCCDカメラが廉価になっていることに鑑みて、カラー撮影用CCDの特性に基づいた画像復元手法を提案している。以上のように、本年度においてはs観測情報が不足し解候補となる画像が無数に存在する状況の中で、適切な画像を自動的に選択するための種々の手法の提案を行っている。
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