研究概要 |
平成18年度は対話文脈に基づく対話制御の基礎技術として以下の各項目に取り組んだ. (1)対話トピックの遷移が頻繁に起こる対話データを収集した. 本研究は対話トピックの遷移を前提としており,文脈も含めて総合的に対話内容を判断することを目指している.平成18年度は実験データとして,対話トピックが頻繁に遷移する「旅行プランニングシステム」を想定した対話をWoZ法により収集した.旅行プランニングシステムでは交通案内,観光地案内,ホテル予約,レストラン検索,天気予報の計5つのトピックを話者が任意に移動しながら旅程を決定していく.平成18年度は合計11名の話者から862発話を収集した. (2)対話文脈を推定するための手法としてPLSAを用いた対話トピック解析法を検討した. PLSAとは,大量の自然言語テキストから,単語同士の潜在的な意味関係を抽出するLSA(Latent Semantic Analysis)に,確率的概念を加えた手法である.一般に対話システムにおけるユーザ発話は短い文が多いため,単にPLSAを適用すると,タスク間の尤度差が小さくなりタスク推定が難しい場合がある.また,連続性のある対話では,ユーザは発話内容の重複を避ける傾向があり,タスク推定に影響のある重要な単語が発話されない事も多い.そこで本研究では,名詞を意味クラスに分類して,単語(クラス)出現確率を上げる事によりタスクの尤度差を確保し,さらに,発話履歴の利用により省略単語を補う手法を提案した.
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