本年度は研究目的に挙げた3項目のうち、a)遷移運動生成法の実機実装、b)ヒューマノイド搭載用小型ビジョンプロセッサボードの開発をおこなった。また、c)モーションスタビライザーに利用する運動安定化手法を新たに構築し、本研究の一環として開発したヒューマノイド運動評価用動力学シミュレータにより運動安定化性能の評価実験をおこなった。 a)遷移運動生成法に関して、実験プラットフォームmorph2による遷移運動生成実験に成功した。実験では各種歩容間だけではなく、歩行から屈伸へという本質的に目的の異なる運動に対しても良好な遷移動作が実現されており、適応運動遷移制御の一翼を担う遷移動作生成アルゴリズムがほぼ完成したといえる。また、b)ヒューマノイド搭載用小型ビジョンプロセッサボードのハードウェア開発は2月末までずれ込んだものの無事終了し、現在ビジョンプロセッサボードを含むヒューマノイド制御システム全体の動作検証を進めている。当初は年度末までに動作検証を終える予定であったが、これに変わって平成18年度に予定していたc)モーションスタビライザーの開発を前倒しして行い、全身の重心バランス制御による安定化手法および転倒時の受身動作生成法を構築した。さらに、今後の研究開発を効率的に進めていくためのヒューマノイド運動評価用動力学シミュレータを同時並行的に開発し、既に各種動作生成・安定化アルゴリズムの評価を終えている。来る平成18年度はこのシミュレータを活用することにより、さらに円滑な研究開発が可能である。 以上、当初の予定とは順序に若干の差異は有るもののほぼ予定どおりの研究成果が得られており、18年度も引き続き研究開発を進めていく。なお、これらの研究成果は学会発表にて逐次報告しており、特に受身動作生成法に関してはロボティクス・メカトロニクス講演会'06で研究発表を行う予定である。
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