研究概要 |
平成17年度は「ラットとの共生を目指したロボットの行動モデルの開発」のファーストステージとして,オープンフィールドにおけるラットの行動計測が可能な実験装置を開発した.また,それを使用してラットの行動計測実験を実施し,得られたデータを解析することでラットの行動モデル構築を試みた. 開発した実験装置はオープンフィールドテストと呼ばれる実験を行うためのものであり,周囲を高さ450[mm]の壁に囲まれた一辺が1100[mm]の正方形フィールドからなる.この正方形フィールドには餌供給装置と水供給装置が配置されており,上部にはフィールド内のラットの行動を撮影するためのCCDカメラが2台取り付けられている.2台のカメラのうち1台は広角レンズによってフィールド全体を撮影することが可能となっており,もう1台は望遠レンズによって限定された範囲の拡大映像を撮影することが可能となっている.望遠レンズ付CCDカメラはDCサーボモータによって駆動される台座上に取り付けられており,台座を駆動することによりフィールド内で移動するラットを追従して撮影することが可能となっている. ラットの行動モデルを構築するために,上記の実験装置を用いてラットの行動計測と解析を行った.この実験の結果より,ラットは正方形フィールドの4隅や壁沿いを好んで移動することが判明した.そこで,正方形フィールドを囲む「壁」がラットを引き寄せる作用を持っていると仮定し,実験空間の形状からラットの滞在と移動を予測するモデルを構築した.そしてこのモデルにもとづき,実験空間の形状を入力するとその空間内でのラットの滞在と移動を予測するシミュレータを開発した.今後,このシミュレータによるシミュレーション結果と実際の実験結果を比較することで,空間形状以外の要素からの作用によって発現するラットの滞在と移動を抽出することが可能となる.
|